地毛が茶色いのはなぜ?
学校の校則で染めてはいけない中、地毛が茶色の友達をみて「うらやましい」と感じた事がある人は多いと思います。
それと同時に、黒髪の自分と何が違うのか気になった人も居るのではないでしょうか。
なぜ人によって、生まれつきの地毛の色が異なるのか解説します。
年齢を重ねることで地毛の色が変わる原因については、下記で解説しています。
真っ黒や明るい地毛の原因はメラニン
髪の毛は大きく分けて、「形を作る細胞」と「色を作る細胞」によって作られています。
色を作る細胞が生成しているのが、メラニンです。
2種類の異なるメラニンが作られており、量や比率によって髪色に違いが生まれます。
すべての人が少なからず、2つのメラニンを持っています。
ユーメラニンは紫外線を吸収して活性酸素の生成を減らすなど、皮膚を守る働きがあります。
活性酸素とは呼吸や紫外線などで体内に増加し、細胞を老化(劣化)させてしまう物です。
そのため、髪が真っ黒な人ほど紫外線に耐性があり、明るい人は日光に弱いと言えます。
髪に色がつくまでの工程や、メラニン2種類の作られ方の違いは下記で解説しています。
生まれつき茶髪と黒髪の人の特徴
日本人のほとんどはメラニン2種類とも量が多く、ユーメラニンの方が比率が高いです。
ユーメラニンは量が多いと髪色が暗くなり、少ないと明るくなるという特徴があります。
そのため、生まれつき茶髪か黒髪かの2択では、ユーメラニンの量によって変わってきます。
髪の毛だけでなく、目や皮膚の色をつけているのもメラニンです。
そのため、メラニン量が少ない茶髪の人は、目や皮膚の色素も薄い傾向にあるのが特徴です。
また、茶髪と言ってもトーンや色味の幅は広く、もう1つのフェオメラニンとのバランスや量でも異なります。
- 赤みのある茶髪(赤茶)
- ユーメラニンが少なく、フェオメラニンが多い
- 赤みが少ない茶髪(アッシュ)
- ユーメラニンが少なく、フェオメラニンも少ない
- 明るい茶髪
- ユーメラニンがとても少なく、フェオメラニンも少ない
赤みの少ないアッシュのような地毛については、下記で詳しく解説しています。
ちなみに、ヘアカラーやブリーチなどで脱色させる場合、ユーメラニンから減っていきます。
赤みが残り赤茶やオレンジになりやすいのは、そのためです。
遺伝で髪色が決まる
人には環境に適応する能力があります。
そのため、赤道付近の紫外線がつよい場所に住む人は、皮膚を守るユーメラニン量が多いです。
こういったメラニン量などは遺伝子に組み込まれ、子供に遺伝します。
2018年に約30万人のヨーロッパ人を対象にした研究で、124個の染色体遺伝子が特定されています。
We identified 123 autosomal and one X-chromosome loci significantly associated with hair color
【Google翻訳】髪の色に有意に関連する123個の常染色体遺伝子座と1個のX染色体遺伝子座を特定しました
出典元:Genome-wide association meta-analysis of individuals of European ancestry identifies new loci explaining a substantial fraction of hair color variation and heritability-nature
この他にも双生児(双子)の研究で、地毛の髪色は約97%が遺伝要因によるものと分かっています。
また、遺伝子は性質が表れやすい「優性(顕性)」と反対の「劣性(潜性)」があります。
「髪の毛」「目」「肌」の色素は、暗い色ほど優性遺伝子です。
少しややこしくなりますが、この子供は黒髪だったとしても「金髪の原因遺伝子」を引き継いでいる場合があります。
両親が金髪の原因遺伝子を持っていた場合、見た目は黒髪同士だったとしても金髪の子供が生まれる事があります。
見た目以外の、違う髪色の原因遺伝子をもっている可能性があるという事です。
また、親から引き継ぐはずの遺伝子が突然変異し、全く異なる髪色で生まれてくる可能性もあります。
男性より女性の方が色素が薄い傾向
上で紹介した遺伝子発見の研究では、女性の方がメラニン色素が薄い傾向にあると報告されています。
女性においては薄い色の髪を持つ人々の割合が大きいことも報告されており、性別と毛髪の色が関連していることが示唆されている。
出典元:ヒトゲノムの中から毛髪の色のルーツを探し出す-Nature Japan
色素が少ないほど髪色が明るくなるため、男性より女性の方が地毛が明るい人の割合が多いということです。
また、女性の方が髪が長い分、毛先などが傷みやすくダメージによる脱色も起きやすいです。
そのため、地毛に関わらず男性より女性の方が、茶髪の割合が多い印象があると思います。
まだらなど部分的に髪色が違う病気
生まれつき部分的に地毛の色が異なり、まだらになっている人も存在します。
そういった人は、下記の先天性の病気などが考えられます。
どれも珍しい病気で、同じ病名でも異なる症状が報告されているようです。
中でも、生まれつき前髪や前頭部(フロント)に部分的な白毛が生えているケースが多いそうです。
日本人の地毛色の割合
日本人の地毛色割合の参考になりそうな、アンケート結果があります。
「ブラック校則をなくそう!プロジェクト」の校則に関するインターネット調査のアンケートです。
茶髪:約9%
金髪:約1%
出典元:2018年3月8日、記者会見を行いました〜アンケート調査結果と配布資料 – 「ブラック校則をなくそう!」プロジェクト
「15歳以上の10〜50代の男女計2000人」「現役中高生の保護者1000人」の計3000人が対象になります。
金髪の約1%が少し気になりますが、自分は茶髪と答えた人は約9%の割合だったそうです。
髪色は光加減や人による認識が異なりやすいため、あくまで自分で思っている地毛色の結果になります。
赤髪や金髪など他にも種類がある
世界の外国人を見てみると様々な髪色の人が居ますが、地毛の色の種類は大きく分けて下記の5種類です。
2種類以外のメラニンは存在しないため、地毛が青髪や緑髪の人はいません。
茶髪以外の地毛については、下記で詳しく解説しています。
赤髪と金髪の人は、それぞれ世界で約1~2%ほどしか居ないとされています。
地毛が茶色はうらやましいけど苦労も
自分にない物を持っている人に対し「うらやましい」と感じるのは自然な事だと思います。
黒髪の人は、茶髪などの違う髪色に憧れを抱きやすいという事です。
しかし、学校や職場の「染めてはいけない」というルールのせいで、自由に髪色を変えられない人も多いかと思います。
そういった人は「EMAJINYカラーワックス」で休日だけ髪色を変えるという方法もあります。
シャンプーで落とせば元の髪色に戻るため、1日だけ茶髪やグレーにする事が可能です。
茶髪は可愛いとうらやましがられる
とくに学生は染める事を禁止されている場合が多く、黒髪が大半を占めていると思います。
そのため、みんなと違うことがしたい心理が働き、染めたいと強く思う時期です。
そんな中、地毛が茶髪の子は憧れの的になりやすく、可愛いとうらやましがられる事が多いと思います。
しかし、茶髪の方がモテるとは言えないようです。
モテるのは黒髪やこげ茶【調査結果】
脇坂クリニック大阪とAACクリニック銀座が行った「東京大阪の髪に関する意識調査(2017年)」を参考にします。
男女1600人を対象に行ったものです。
「黒髪」「暗い茶色」「明るい茶色」の女性の後ろ姿写真を見せ、好みの人を選ばせるという内容です。
なんと、約半数の男性が黒髪を支持している結果となりました。
出典元:男子ウケはどっちだ!黒髪vs茶髪、モテる髪色がとうとう判明!
また、女性の場合、暗い茶色を支持している人が半数以上という結果になっています。
黒髪の女性の方が、男性からモテるという結果になったようです。
黒染め強要など、いじめに似た扱いも
日本では染めている人を不真面目と考える人がいるせいで、多数派である黒髪以外を許さない学校もあります。
地毛で茶色いのに、黒染めを強要される「ブラック校則」が有名です。
ニュースにも取り上げれ、こういった校則をなくそうと署名活動をしている団体もあります。
地毛が少数派の茶色というだけで理不尽に髪色を注意されるなど、いじめのような扱いを受けたという人も居るようです。
また、いちいち地毛証明書を出さなければいけなかったりと、地毛が茶色というだけで日本だと苦労する事があります。
就活でのリスク
基本的に就活で推奨されているのは黒髪です。
「黒髪=まじめ」と考える人が多いからだと思います。
そのため、地毛が茶色い人は下記の選択をせまられます。
会社側に選ぶ権利があるため、説明しても受け入れられる保証はありません。
また、黒髪を規則にしている会社もあるようです。
サービス業や接客業に多く「黒髪以外では信用をなくすかもしれない」と考える人が多いのだと思います。
そういった職業に就きたい場合は就活時だけでなく、その後も黒染めし続けなければいけません。
地毛が茶色の人を【うらやましい】と思っている人は、こういった苦労がある事も考えてみてください。
まとめ
地毛の色は、メラニン2種類の量や比率によって黒髪や茶髪に分かれます。
生まれつきの髪色を決めているのは遺伝です。
遺伝病などにより、生まれつきまだらのように部分的に色がちがう事もあります。
日本人では黒髪や茶髪が見られますが、海外を見ると赤髪や金髪など地毛の色は計5種類あります。
染めずに地毛が茶色い人を「うらやましい」と思う人は多いですが、日本では苦労する場面も多いです。
「黒髪=まじめ」ではなく、髪色に対してもっと自由な国になって欲しいと思います。