白髪が生える仕組みとは?【あ、急に増えた】若い人でもメカニズムは同じで原因は複数

白髪の仕組みと急に増える原因 白髪
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  • 白髪が気になりだし、仕組みや原因を調べている人
  • まだ10代や20代と若いのに、白髪が急に増えたので心配している人
  • なぜ人によって、白髪が生えたり生えなかったりするのか知りたい人
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白髪が生える仕組み【メカニズム】

白髪がない時は他人事ですが、いざ生えてくると仕組みや原因について調べ始める人は多いと思います。

研究論文などを参考にさせて頂きながら、分かりやすく解説していきます。

髪の毛を作っている細胞は、大きく分けて下記の2種類です。

髪の形を作る細胞
  • 毛包幹細胞(もうほうかんさいぼう)
  • 毛母細胞(もうぼさいぼう)
髪の色を作る細胞
  • 色素幹細胞
  • メラノブラスト
  • 色素細胞(メラノサイト)

毛根の構造や細胞の動きがわかる断面図

そして、髪に色がつくまでの流れは下記になります。

髪に色がつくまでの工程
  1. 毛包幹細胞から色素幹細胞へ、指令(TGF-βシグナル)が伝達
  2. 色素幹細胞が自身のクローンと、メラノブラストに分化
  3. メラノブラストが色素細胞に分化
  4. 色素細胞が髪色となるメラニンを生成
  5. 毛母細胞にメラニンが渡り、色のついた髪を生成

この工程のどこかに不具合がおき、メラニンがない状態で作られた髪が白髪になります。

これが、白髪が生えてくる仕組みです。

不具合によっては、改善することで白髪から黒髪に戻る事もあります。

具体的にどういった不具合により白髪が生えてしまうのか、そのメカニズムを解説します。

17型コラーゲンが不足

17型コラーゲンは良く耳にするコラーゲンとは異なり、膜貫通性という性質があります。

毛包(髪を作る場所)に存在する細胞表面に結合した時だけ効果が表れる、特殊なコラーゲンです。

飲食や頭皮塗布などで、17型コラーゲンを直接補えるかは分かっていません。

17型コラーゲンは、下記の働きをしています。

17型コラーゲンの働き
  • 毛包幹細胞から指令(TGF-βシグナル)を出させる
  • 毛包幹細胞をバルジ領域に繋ぎとめる

※バルジ領域は毛包の浅めの位置にあり、上にある画像で位置を確認できます。

TGF-βとは、細胞の働きをコントロールしている分泌性シグナルタンパク質の一種です。

メラニンを作る根源の色素幹細胞は、毛包幹細胞から出るTGF-βシグナルによって機能しています。

そのため、17型コラーゲンが不足してTGF-βシグナルが出なくなると、白髪になるという事です。

17型コラーゲンを欠損するマウスでは、毛包幹細胞におけるTGF-βの発現が早期から失われ、隣接して存在する色素幹細胞におけるTGF-βシグナルが入らなくなるために色素幹細胞を維持できなくなり若白髪になること、毛包幹細胞を含む基底細胞でのみ17型コラーゲンを発現させると一連の異常がすべて回復することが判明しました。

出典元:毛包幹細胞が色素幹細胞を維持する仕組みを解明 | 国立大学法人 東京医科歯科大学

また、17型コラーゲンには、毛包幹細胞をバルジ領域に繋ぎとめる働きがあります。

これがとても重要で、毛包幹細胞はバルジ領域から離れてしまうと機能しません。

毛母細胞に分化しなくなり、髪の毛自体が作られなくなってしまうという事です。

離れた後は角化細胞(表皮の中にある細胞)となり、肌のターンオーバーで外に剥がれ落ちます。

そのため、17型コラーゲンが不足して白髪になった場合、その状態が続くと髪自体が生えなくなります。

つまり

17型コラーゲンが不足すると、白髪や脱毛が起こる

色素幹細胞が働かなくなり消滅する

メラニンを作る根源の色素幹細胞が消滅してしまった場合、その白髪を黒髪に戻すことはできません。

色素幹細胞は自身のコピーであるクローンを自ら作る事で、数を維持しているからです。

色素幹細胞の働き
多分化能
メラノブラストに分化。その後、色素細胞に分化してメラニン生成
自己複製能
色素幹細胞(自身のクローン)に分化

幹細胞の寿命は約1~2週間ほどと短いです。

そのため、何らかの理由で自己複製能を行わなくなると、寿命をむかえて徐々に減っていきます。

一度でも数が0になってしまうと、現在の医学では復活させる事はできません。

MITF遺伝子が減少

MITFとは「Microphthalmia associated Transcription Factor」の略で、色素細胞の中に存在します。

MITF遺伝子の働き
  • 色素細胞にメラニンを作るように指示
  • メラニンを作るために必要な生成酵素を、活性化させる

年齢を重ねる毎に、色素細胞で発現するMITF遺伝子の数が減っていく事がわかっています。

その結果、働きも弱まっていき、色素細胞がメラニンを作らなくなることで白髪になります。

これらにより、MITF遺伝子の発現数を増やせるという研究結果があります。

メラニンが出来る過程に不具合

色素細胞が作るメラニンは「ユーメラニン」と「フェオメラニン」の2種類です。

このメラニン2種類の量やバランスで、地毛の色が決まります。

>>地毛が茶色いのはなぜ?【うらやましい】

メラニンが出来るまで、色素細胞の中で下記のようなことが起こっています。

メラニンができる過程

メラニンができる過程
  1. MITF遺伝子が指令を出し、色素細胞がメラニンを作り始める
  2. MITF遺伝子と銅(ミネラル)により、チロシナーゼ(メラニン生成酵素)が活性
  3. チロシン(アミノ酸)がチロシナーゼに酸化され、ドーパに変化
  4. ドーパがチロシナーゼに酸化され、ドーパキノンに変化
  5. ドーパキノンから2種類のメラニンにルートが分岐

ここからユーメラニンとフェオメラニンで、作られるまでの工程が分岐します。

ユーメラニンが出来る過程

ユーメラニンが出来る過程

  1. ドーパキノンがロイコドーパクロム→ドーパクロムへ時間経過で変化
  2. ドーパクロムが酵素であるTRP2(DCT)の作用を受けるとDHICA、受けないとDHIに変化
  3. DHICAとDHIが酵素であるTRP1の作用を受けてユーメラニンが完成

フェオメラニンが出来る過程

フェオメラニンが出来る過程

  1. ドーパキノンとシスティンが反応する事でシスティニルドーパへ変化
  2. システィニルドーパが時間経過でフェオメラニンが完成

これらの工程のどこかに不具合が起き、メラニンが作られない事で白髪になります。

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白髪が急に増える原因

上で白髪になる仕組みを解説しましたが、その原因となる要因や行動などを解説していきます。

男性と女性で生え始めが違う

男性と女性とでは、白髪が気になりだす年齢に違いがあるようです。

下記は、株式会社リクルートライフスタイルが行った「白髪・グレイヘアに関する意識調査2020」の結果です。

男性と女性の白髪が気になりだした年齢

出典元:株式会社リクルートライフスタイル ホットペッパービューティーアカデミー-白髪・グレイヘアに関する意識調査2020

調査対象者
  • 全国20~69歳男女
  • 現在白髪があり白髪染めをしている
  • 白髪を気にしている
  • ヘアサロン利用頻度が3カ月に1回以上

これに当てはまる、約5万人のインターネット調査の結果になります。

「男性が30代後半」「女性が40代前半」と、男性の方が白髪を気にし始める年齢が早いようです。

この差の明確な原因はわかりませんが、頭髪ケアへの関心の差などが考えられるかと思います。

若い10代20代と30代40代の違い

男女で少し違いがありますが、白髪が気になりだす平均年齢は30代後半以降です。

そのため、それよりも若い10代や20代で生えている場合は「若白髪」に分類されます。

若い人と30代後半以降でも、白髪が生える仕組み自体は同じです。

しかし、白髪の増えやすさは大きく異なります。

加齢で増えやすくなる原因
  • 抗酸化酵素が作られる量が減る
  • 成長ホルモンの分泌量が減少
  • 女性ホルモンのエストロゲンが低下
  • 17型コラーゲンの減少

これらは、髪色を作る細胞が正常に働くためのサポートをしており、加齢することで減少していきます。

そのため、30代40代と年齢を重ねていくにつれ、白髪が増えやすくなっていきます。

>>30代で白髪が急に増える原因とは?【ショック】

他に症状があれば病気の警告かも

白髪は多くの場合、老化現象として生えてきます。

しかし、白髪になるのと同時に他の症状がある場合、病気の警告かもしれません。

例として、下記などの病気があげられます。

白髪の症状がおこる病気
白斑・白皮症
皮膚一部の色素が抜け、そこから生える毛が白くなる。視力障害を伴うことがある
ウェルナー症候群
白髪の他に「脱毛」「白内障(瞳が白く濁る)」「嗄声(かすれた声)」「皮膚の萎縮や角化」など
甲状腺機能低下症
新陳代謝がうまくいかなくなり、白髪や脱毛に繋がるとされる
他に「無気力」「疲労感」「むくみ」「寒がり」「体重増加」「動作緩慢」「記憶力低下」「便秘」など

このように、白髪の他に何か症状がある場合は、病気の警告かもしれません。

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ストレス

ストレスを受けた時、体内で下記のような事が起きています。

  • 活性酸素が増加
  • ノルアドレナリン(神経伝達物質)が放出

体内に活性酸素が増加すると、細胞に酸化ダメージを与えてしまいます。

この酸化ダメージは、細胞が正常に働かなくなったり劣化(老化)してしまう原因です。

また、ノルアドレナリンは、メラニン生成の根源となる色素幹細胞を減少させる原因になります。

下記は、2020年1月に国際的な総合科学ジャーナル「Nature」に記載された論文です。

these results indicate that noradrenaline released from active sympathetic neurons triggers MeSC depletion

【Google翻訳】これらの結果は、活動的な交感神経ニューロンから放出されたノルアドレナリンがMeSC枯渇を引き起こすことを示しています

出典元:How the stress of fight or flight turns hair white-nature

MeSCとは色素幹細胞の事です。

色素幹細胞はメラニンを作る細胞に分化するのと同時に、自らのクローンを生成して数を維持しています。

しかし、ノルアドレナリンの影響を受けると、クローンを作らなくなってしまいます。

幹細胞の寿命は1~2週間と短いため、その状態のまま時間が経過すると数が減っていくという事です。

上でも解説しましたが、色素幹細胞の数が1度でも0になると復活することはありません。

つまり

長期的なストレスは、二度と黒髪に戻らない白髪になる可能性がある

紫外線

頭皮に紫外線を浴びると、細胞を劣化(老化)させる活性酸素が増えてしまいます。

頭皮は髪によって守られてはいますが、薄毛の場所や分け目の部分などがあるため隙間を0にする事はできません。

そのため、分け目や生え際などに白髪が生えやすいのは、紫外線が原因として考えられます。

>>白髪が生える場所ごとの意味とは?【体の不調サイン】

対策として、髪と頭皮の両方に使える日焼け止めがおすすめです。

髪と肌の両方に使える日焼け止め

栄養不足

細胞がメラニンを作るため、とくに重要となるのが下記の栄養素です。

メラニンを作るために重要な栄養素
  • チロシン
  • 抗酸化物質
  • ヨード(ヨウ素)
  • ビタミンC

それぞれの働きや理由などは、下記のページで解説しています。

>>白髪を黒髪に戻す食べ物とは?【最強は海苔】

血流が悪い

食事から吸収された栄養は、血液に乗ってメラニンを作っている細胞に届けられます。

そのため、栄養を十分とっていても血流が悪いと、細胞へスムーズに渡す事ができなくなります。

血流が悪くなる原因は、主に下記の5つです。

血流が悪くなる原因
  • 筋肉のコリ
  • 筋肉量が少ない
  • 運動不足
  • 体温が低い
  • 病気

定期的な運動や、筋肉のコリをほぐすマッサージが予防になります。

>>髪の毛を早く伸ばすマッサージとは?【テクニシャン】

>>髪の毛を早く伸ばすツボとは?【押すべき位置7選】

睡眠の質が悪い

睡眠の質が良いほど、下記の2つのホルモンが多く分泌されます。

成長ホルモン
新陳代謝を活発にする
メラトニン
強力な抗酸化作用(活性酸素を減らす)がある

分化して新しく細胞が生まれ変わりながら、髪色のメラニンは作られています。

そのため、新陳代謝で髪色が作られているとも言えます。

成長ホルモンはその働きを活発にするため、とても重要です。

また、メラトニンには強力な抗酸化作用があるため、髪に関わる細胞の劣化(老化)を防いでくれます。

つまり

睡眠の質が悪いことは、白髪が急に増える原因になる

セルフカラー

ヘアカラー薬剤には、細胞に酸化ダメージを与えてしまう過酸化水素が含まれています。

とくにセルフカラーは影響が大きいです。

セルフカラーが白髪の原因になる理由
  • 頭皮に薬剤が多くついてしまう
  • 市販のカラー剤はどれも、過酸化水素の濃度が高い

また、こういったヘアカラー薬剤の成分は、染めたあと頭髪に必ず残留します。

自然に抜けるまで時間が掛かるため、カラー後の2~3間程は後処理剤でのケアをすべきです。

残留薬剤はヘアカラーの色落ち原因にもなるため、除去処理はとても重要です。

遺伝

白髪になる事と強い関連性がある遺伝子は見つかっています。

>>白髪の遺伝とは?【父親と母親からの影響】

そのため、白髪は遺伝の影響を受けると言えます。

しかし、これらが子供に遺伝してどれだけの影響が出るかなど、詳しい事までは分かっていません。

また、白髪の原因を完璧に調べる事はできないため、生えても遺伝によるものなのか判断することは不可能です。

つまり

白髪が生えたからと言って、親のせいに出来るわけではない

喫煙

タバコを吸う事が白髪の原因になる理由は、下記のようなものがあります。

喫煙で白髪になる理由
  • 抗酸化作用のあるビタミンを大量消費
  • 血管を収縮して、血流が悪くなる
  • 血液に乗って運ばれる酸素が減る

ビタミンには抗酸化作用があるとされ、細胞の劣化(老化)を防いでくれます。

ただでさえ日本人はビタミンが不足しているのに、喫煙によってさらに消費してしまいます。

また、細胞が働くためには、栄養だけでなく酸素も必要です。

つまり

喫煙は、白髪が急に増えてしまう原因になる

飲酒

肝臓がアルコールを分解するときに、大量に活性酸素が増えてしまいます。

  • アルコール度数が高い
  • アルコールに弱い人(分解が苦手)

こういった場合、さらに活性酸素の量を増加させてしまいます。

そのため、酔えば酔うほど細胞が劣化(老化)しやすく、白髪の原因になるという事です。

また、活性酸素が増えると、それを減らすために抗酸化酵素も体内で作られます。

しかし、加齢によって抗酸化酵素の生成量が減っていきます。

つまり

30代40代と加齢していくほど、飲酒による影響が大きくなる

白髪を回復して黒髪に戻すための条件

一回白髪になってしまっても、黒髪に戻ることはあります。

しかし、黒髪に戻すためには条件があります。

条件

その白髪の毛包に、色素幹細胞が残っていること

上でも解説しましたが、色素幹細胞の数が1回でも0になると復活させる事はできません。

また、色素幹細胞が残っているか、自分で調べる事もできません。

そのため、黒髪に戻すことが出来る白髪なのか、判断することは不可能です。

判断できなくても白髪の原因になりそうな事を改善することは、増やさないための予防になります。

白髪を抜くのは治る可能性を減らす

毛包と毛根鞘が分かる断面図

髪は毛包に、毛根鞘(もうこんしょう)という接着剤のような物でくっついています。

そのため、白髪を抜くと接着力分のダメージを、髪に関係する細胞などに与えてしまう可能性があります。

白髪を抜くメリットやデメリットは、下記で詳しく解説しています。

>>白髪を抜くメリットとデメリットとは?【決めるのはアナタ】

また、白髪を抜くと毛包炎を起こす可能性があり、細胞にとっては悪影響です。

もし黒髪に回復できる白髪だった場合、その可能性を減らす事に繋がります。

まとめ

髪に色がつくまでの工程に不具合がおき、メラニンがない状態で作られた髪が白髪になります。

これが白髪が生える仕組みです。

不具合がおきる原因は複数考えられ、場合によって改善できれば黒髪に戻すこともできます。

細胞の状態を自分で調べる事はできませんが、原因を改善することは白髪を増やさない予防になります。

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