湯シャンで頭がかゆい原因
湯シャンを始めたら頭がかゆくなり、原因や対策を調べている人は多いと思います。
かゆみというのは神経障害や皮膚の炎症など、考えられる原因は多いです。
その中でも、湯シャンとの関りが強いかゆみについて解説していきます。
湯シャンの効果などについては、下記でまとめて解説しています。
脂漏性皮膚炎になった可能性
湯シャンにしてからかゆくなった場合、原因として可能性が高いのはマラセチア菌(常在菌)の増加です。
マラセチア菌とは誰の皮膚にも存在するカビの一種で、皮脂をエサにしています。
皮脂(油分)は毛穴から常に分泌されており、頭皮の保湿や保護として機能しています。
油分なので水を弾いてしまい、湯シャンでは洗髪後も皮脂が残りやすいです。
過剰になると、頭皮がベタついたり臭くなってしまいます。
また、皮脂が増えるとエサにしているマラセチア菌も繁殖し、皮膚への刺激増加がかゆみの原因になります。
現にかゆみを伴う脂漏性皮膚炎(しろうせいひふへん)は、マラセチア菌の増加が原因として考えられています。
脂漏性皮膚炎の発生機序は明らかにされていないが,その活動性には,皮膚に存在する酵母様真菌であるMalassezia属真菌の数およびそれに対する炎症反応との関連が認められる。
出典元:脂漏性皮膚炎 – 14. 皮膚疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版
また、脂漏性皮膚炎は酸化ストレス(細胞が劣化しやすい状態)になります。
その結果、白髪になってしまう可能性があるので、注意が必要です。
マラセチア毛包炎は発毛や抜け毛に影響
湯シャンをして頭がかゆくなった場合、マラセチア毛包炎も考えられます。
髪の毛は毛包(もうほう)という場所で、細胞によって作られています。
マラセチア菌が毛包の中で増殖して起こるのが、マラセチア毛包炎です。
マラセチア毛包炎は面皰を伴わない紅色丘疹,膿疱が胸部,背部から肩に出現し,時に痒みを伴う.
出典元:日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン 2019(pdf)
皮脂や汗が多い部位で、起こりやすい疾患になります。
髪を作っている場所が炎症を起こしているため、発毛や抜け毛などへの影響が考えられます。
皮脂に比例してマラセチア菌は増えやすいため、湯シャンのかゆみとして考えられるという事です。
絶対に掻いてはいけない理由
かゆいからと我慢できずに掻いてしまうと、悪化します。
それぞれ解説します。
毛包炎になりやすい
頭皮を掻いてしまうと毛包付近に傷がつき、そこから細菌が入る事で毛包炎を起こす可能性があります。
上で解説したマラセチア毛包炎とは違い、こちらは傷口からの細菌感染が原因です。
感染した毛包には、かゆみやかすかな痛みがありますが、それ以外に特に具合が悪く感じられることはありません。
出典元:毛包炎と皮膚膿瘍 – 17. 皮膚の病気 – MSDマニュアル家庭版
毛包炎は掻く意外にも、毛剃りや毛抜きで起こりやすい疾患です。
悪化すると他の髪の毛包まで広がり、発毛や抜け毛に影響を与えます。
バリア機能が低下し、乾燥する事で新たなかゆみの原因になる
皮膚の保湿や保護をしている、下記の3つをまとめて「バリア機能」と呼びます。
頭皮を掻くとバリア機能が低下し、皮膚が乾燥したり外部の影響を受けやすくなります。
その結果、炎症を起こしたり悪化するため、かゆみが起きやすいです。
また、バリア機能が低下すると、かゆみを感じる神経が内側から表面側に伸びてくるそうです。
かゆみを感じる神経線維は健康な皮膚では真皮の中に留まっていますが、バリア機能が低下した皮膚では表皮まで枝分かれしながら伸び、外からのかゆみ刺激が起きやすい状態になってしまいます。
出典元:栄養学から皮膚科学の研究者へ。「かゆみ」解明に向けて様々な研究プロジェクトを推進! | 順天堂 GOOD HEALTH JOURNAL
掻くのを我慢するストレスでも、かゆみ増加
かゆみがあるのに掻くのを我慢するのはストレスです。
頭皮に乾燥や炎症といったかゆみの原因がある場合、ストレスによってさらに頭がかゆくなります。
16人の健康な被験者と15人のアトピー患者を対象に、かゆみとストレスの関係性を調べた研究論文があります。
ストレス負荷をかけたうえで、ハッショウマメの小さい棘を腕に当ててかゆみを誘発させるという内容です。
In patients with AD, stress induced by TSST caused a significant reduction of cowhage-evoked itch but significantly increased off-site scratching behaviour. Such changes in itch perception and scratching behaviour were not observed in healthy controls.
【Google翻訳】ADの患者では、TSSTによって誘発されたストレスにより、カウヘイジによって引き起こされるかゆみが大幅に減少しましたが、オフサイトでの引っ掻き行動は大幅に増加しました。かゆみの知覚および引っ掻き行動のそのような変化は、健康な対照では観察されなかった。
出典元:Impact of acute stress on itch sensation and scratching behaviour in patients with atopic dermatitis and healthy controls – PubMed
ハッショウマメによるかゆみは増加せず、アトピー患者の人だけ他の場所がかゆくなったそうです。
この事から、アトピーなど皮膚に元々かゆみの原因がある場合にのみ、ストレスを受ける事でかゆみが増加すると言えます。
続けた結果、かゆみが治まる保証なし
湯シャンを始めたては皮脂が過剰になり、続けると治まってくると説明されている事があります。
しかし、湯シャンを続けると皮脂分泌量が減少するという根拠はありません。
そのため、湯シャンで頭がかゆくなった後、我慢して続けても治まる保証はないという事です。
その状態を放置することで、悪化してしまう可能性もあるので注意が必要です。
湯シャンのかゆみ対策
上で解説した通り、湯シャンでかゆい原因は主に皮脂過剰によるマラセチア菌の増加です。
我慢して湯シャンを続けると悪化する可能性があるので、早めの対策が必要になります。
かゆかったら我慢せずシャンプー
湯シャンをしてから軽度のかゆみがある場合、対策としては我慢せずシャンプー剤で洗髪する事です。
シャンプー剤には水と油を混ぜる界面活性剤が含まれています。
洗浄力が上がるため、皮脂や常在菌(マラセチア菌など)を効率よく洗い落とす事ができます。
湯シャンをしている乾燥肌の人には「ミノン薬用ヘアシャンプー」おすすめです。
とても低刺激なのが特徴で、アレルギーになりうる原因物質を極力カットして作られています。
また、フケ・かゆみを予防する有効成分も含まれているうえ低価格なため、とても人気が高いシャンプー剤です。
乾燥によるかゆみなら湯シャンは効果的
頭が元々かゆいため、湯シャンを試そうか迷っている人もいるかと思います。
頭皮にベタつきがないのにかゆい場合、原因は乾燥の可能性が高いです。
乾燥していると、かゆみ以外にもパサついたフケが増加しやすいです。
ただ、そもそも乾燥の原因が、「シャンプー剤が自分に合っていない」という可能性も考えられます。
そういった人は上でも紹介した乾燥肌向けの「ミノン薬用ヘアシャンプー」を試してみてください。
まとめ
湯シャンで頭がかゆい原因は、皮脂過剰によるマラセチア菌増加の可能性が高いです。
その状態が続くと、脂漏性皮膚炎やマラセチア毛包炎を引き起こします。
また、かゆいからと頭皮を掻くと、バリア機能が低下して状態が悪化してしまいます。
掻くのを我慢するストレスでもかゆみは増加しますが、耐える事が大切です。
湯シャンを続けても改善する保証はないため、我慢せずにシャンプー剤で洗髪すべきです。