髪の毛を茶色くする方法は簡単ではない
中学生や高校生などは、ヘアカラー剤以外で先生にバレない程度に染めたいと考えている人は多いと思います。
その理由を知るため、まず黒髪から茶髪になる時に何がおこっているのかを解説します。
黒髪から茶髪になる原理
髪内部にある2種類のメラニン色素によって、地毛の色が決まります。
- ユーメラニン
- 黒色~茶褐色
- フェオメラニン
- 赤色~黄色
日本人の多くは2種類とも量が多く、ユーメラニンの方が比率が高い黒髪です。
たまに地毛が茶髪の人も居ますが、黒髪との違いはユーメラニン量の差によるものです。
髪からメラニン色素を脱色させるには
髪内部にあるメラニン色素を減らすためには、大きく分けて2つの方法があります。
- メラニン色素を髪の外へ流出
- ダメージによって、メラニン色素を分解
ヘアカラーで染めた色素の場合も、これらの方法で色落ちしています。
しかし、メラニン色素の場合、髪内部にしっかりと吸着しているため外へ流出するというのは難しいです。
普段のドライヤーで茶色くならない理由
メラニン色素を分解できるダメージは、下記などがあげられます。
- 紫外線
- 熱(高温)
- 塩素
- 過酸化水素水(オキシドール)
しかし、毎日ドライヤーの熱をあてたり紫外線を浴びているのに、茶色くなったという人はほとんど居ないと思います。
一般的なドライヤーは約100~120度、ヘアアイロンで約120~200度ほどです。
ヘアアイロンの方が高温なうえ、髪を巻いたり挟んだりして熱を加えるのでダメージは大きくなります。
メラニン色素は、高温のヘアアイロンを毎日してやっと脱色するかしないか程度です。
もちろん髪質や使い方により、脱色具合は上下します。
また、髪外部にはキューティクルがあり、バリアとして機能しています。
これによりダメージがカットされているのも、ドライヤーなどで脱色しない理由の1つです。
※メラニン色素はコルテックスという場所にあります
コンディショナーやトリートメントを使用している人は、コーティング剤(シリコンなど)もバリアとして機能しています。
髪外部に隙間を作る方法
コンディショナーなどのコーティング剤については、ノンシリコンシャンプーで洗髪すれば落とせます。
キューティクルの隙間を開かせるためには、性質を利用することが必要です。
ドライヤーを使うときは髪が濡れているのに加え温度も高い状態のため、キューティクルの隙間はしっかり開いています。
それでも茶色くならない事から分かるよう、メラニン色素はとても脱色しづらいです。
また、ヘアカラーで染める時はアルカリ剤を使ってキューティクルを開かせ、内部に薬剤を効率よく浸透させています。
痛まない訳がない
メラニン色素よりも髪外部の方がダメージに弱いです。
そのため、メラニンを脱色させるほどのダメージは、必ず髪を痛ませます。
とくに代表的な痛みの原因は、髪にあるCMCの減少です。
ダメージにとても弱く、メラニンを脱色させる時には多量に減ってしまいます。
その結果、パサついたり手触りが悪くなるなど、傷んだ髪の代表的な症状が出現します。
他にも、メラニンと一緒に髪内部の栄養(タンパク質、脂質など)が減少するのも大きいです。
これらは髪の弾力性に影響を与えているため、減少するとハリやコシのない髪になります。
染めずに1日で茶髪にする方法【ほぼ痛まない】
ヘアカラーには脱色効果があるため、上で解説したように必ず髪が痛みます。
染めるのではなく表面に色をのせる事で、1日だけ茶髪にする方法があります。
ほとんど髪の痛みを心配する必要もありません。
色を変える仕組みや、ほとんど痛まない理由を解説していきます。
髪色を変えるための製品は、大きく分けて4つの種類があります。
髪を染めると言えばヘアカラーやブリーチなど、「永久染毛剤」「脱色剤・脱染剤」の使用が一般的です。
これらはメラニンを分解する作用があるため、上で解説したように髪がとても痛みます。
対して半永久染毛料(カラーシャンプーなど)と一時染毛料(カラーワックス)には脱色効果はありません。
また、髪に新しい色を追加しているだけなので、シャンプーなどで色落ちすれば元の髪色に戻ります。
そして、この2つの違いは色をつける場所です。
- 半永久染毛料
- 色を付ける場所:髪内部の外側に近い部分
- 一時染毛料
- 色を付ける場所:髪表面
基本的に、髪色は色素が増えるほど暗い色になります。
>>ヘアカラー後に色落ちして明るくなる理由とは?【だんだんに】
そのため、黒髪から茶髪にするには、色素を減らす(脱色)か黒を打ち消すほどの茶色をかぶせる必要があります。
半永久染毛料は色を付ける場所がとても狭いため、多量の色素を追加するのは不可能です。
対して一時染毛料はたっぷり付けられるため、元の髪色関係なく好きな色に変えられます。
一時染毛料は、ワックスタイプとスプレータイプが大半を占めています。
セットのしやすさや色の馴染ませやすさを考えると、ワックスタイプの方が使いやすいです。
おすすめは「EMAJINYカラーワックス」です。
カラーバリエーションがとても豊富で、黒髪からでも好きな色に変えられます。
ショートヘア全体の髪色を変える場合、1個で約12回ほど使えます。
中学生が騙されやすい、家にあるもので茶髪にする方法
小学生や中学生では、ヘアカラー剤を使って染めるのは抵抗があるという人が多いと思います。
裏ワザを探すように、家にあるもので茶髪にする方法を探しているのではないでしょうか。
ネットやSNSで検索してみると、下記のような方法が紹介されています。
これらはデマで、髪を茶色くする方法とは言えません。
上で解説しましたが、茶色くしたい場合はキューティクルに隙間をあけてから強力なダメージを与える必要があります。
しかし、紹介されている方法の中には、pHの関係でキューティクルの隙間を閉じさせる物を使っていたりします。
健康な髪のpHは弱酸性で、それ以外に傾くとキューティクルへのダメージに繋がります。
アルカリか酸性に傾くと下記のような状態になるのが特徴です。
- 酸性に傾いた髪
- キューティクルの隙間が閉じ、硬くなる
- アルカリ性に傾いた髪
- キューティクルの隙間が開き、柔らかくなる
これらを踏まえ、髪が茶色になるデマの方法で使われるものを解説します。
酢、レモン汁、コーラは逆効果
まず、この3つにメラニン色素を分解するような作用はありません。
そして、pHは酸性のため、これらを髪につけるとキューティクルの隙間は閉じます。
脱色させるため髪内部のメラニン色素にダメージを与えたいのに、髪外部の隙間が閉じるのは逆効果です。
そのため、これらをつけた後にドライヤーなどを当てても、メラニン色素にダメージが届きづらくなります。
たしかに水分を含んだ酸性の物なので、キューティクルにダメージを与えます。
髪が濡れて膨らむとキューティクルの隙間が開き、酸性に傾けると引き締まろうとする力が働いて負荷が掛かるからです。
こんな事をしなくてもキューティクルの隙間を開かせる事は可能なため、無駄に髪が痛むだけです。
リンスで茶髪になるは嘘
リンスをつけて放置したところで、髪が茶色くなることはありません。
メラニン色素を分解する効果もなく、一般的なリンスは弱酸性なのでダメージも少ないです。
リンスで茶髪にするというのは噂として有名ですが、嘘なので騙されないよう注意が必要です。
ヘアカラーやパーマ後に、pHを調整するために使われる物を「酸リンス(酸性リンス)」と呼ぶからです。
一般的なリンスが酸性なら、わざわざ酸リンスとは呼びません。
仮に酸リンスを使ったとしても、上で解説した酢などと同じで茶色にする方法としては向いていません。
化粧水後にドライヤーもデマ
脱色効果はなく、髪を茶色くするため化粧水をつけるメリットは1つもありません。
化粧水をつければ髪が濡れてキューティクルの隙間が開きますが、水道水でも同じことが出来ます。
そもそも、化粧水後にドライヤーしただけで茶髪になるのなら、下記の部分が茶色になってしまう人が続出します。
- 生え際
- 眉毛
- もみ上げ
冷静に考えれば分かることですが、化粧水で茶髪になるというデマの噂も有名かと思います。
塩に脱色作用はない
塩と塩素は、まったくの別物です。
塩を髪につけても脱色することはありません。
塩素に脱色効果がある事と混同してしまった人が、誤って広めた噂ではないかと思われます。
また、塩を混ぜて洗うと、粒子が髪と擦れることでキューティクルが傷つきやすいです。
上でも解説したように、傷つけなくてもキューティクルの隙間を開かせることは可能です。
少しだけ脱色させ自然に茶色くしたい場合
結局の所、ヘアカラー剤やブリーチ剤を使わずに脱色させるのは、とても難しいです。
噂される方法のほとんどはキューティクルを痛ませるだけで、脱色効果はほとんど期待できません。
また、よくある間違いとして「ヘアカラー剤を使うから痛む」ではなく、「脱色させるから痛む」です。
脱色させて自然な茶髪にしたい場合、どんな方法で行っても必ずダメージになります。
ヘアカラー剤の放置時間を短くする
少しだけ脱色させて自然に茶色くしたいのであれば、裏技みたいな方法ではなくヘアカラー剤を使うべきです。
ヘアカラー剤にも脱色作用があり、放置時間を短くすることで効果を弱めることができます。
しかし、本来の使い方と異なるためムラになる可能性も高く、やるのであれば自己責任になります。
地毛のような自然な茶色にする事を前提とすると、暗いブラウン系のホームカラー剤がおすすめです。
安い物であれば薬局やドンキなどで、約500円前後で売っていると思います。
放置時間を短くする分、素早く髪全体に塗布できないとムラになる可能性が高いです。
放置時間は髪質やカラー剤によっても変わりますが、説明書より短くするほど脱色効果が弱まります。
また、染め立ては全然変わっていないと思っても、染めた色が段々落ちていく事で少しづつ明るくなります。
>>ヘアカラー後に色落ちして明るくなる理由とは?【だんだんに】
ただ、自分だけが気づくくらい少しだけ茶髪にするのであれば、休日だけ派手にカラーワックスで変える方がおすすめです。
オキシドールについて
オキシドールで茶色にする方法が紹介されている事があります。
これは過酸化水素のことで、ヘアカラー剤にも含まれています。
オキシドールにはメラニン色素を分解する働きがあるため、茶色くすることは可能です。
ヘアカラー剤はNGでオキシドールはOKという理由は分かりませんが、オキシだけで茶色くする場合は注意が必要です。
ヘアカラー剤は一緒に含まれているアルカリ剤によって、髪全体のキューティクルの隙間を開かせています。
それができないため、髪1本1本のオキシドールの浸透効率が異なって色ムラができやすいです。
まとめ
髪を茶色にするためには、髪外部の隙間をあけながら内部にあるメラニン色素へ強いダメージを与える必要があります。
裏ワザのように紹介されている「ヘアカラー剤を使わず髪を茶色くする方法」は、ほとんど嘘です。
脱色効果のある物はなく、キューティクルを痛ませるだけのため中学生などは騙されないように注意してください。
バレないように茶色くしたい場合、暗いブラウン系のカラー剤でセルフで染めるのがおすすめです。
放置時間を短くすることで、少しだけ茶色くすることができます。