正しい髪の毛の洗い方は下向き上向き問題
他人が髪を洗っている姿はあまり見ないため、どっち向きでみんな洗髪しているかなどを調べている人は多いと思います。
ネットで調べてみると「上向きが良い」という意見が多いようです。
しかし、根拠が十分でない理由ばかりのため、そのあたりについて解説します。
前かがみなどの下向きが多数派
まずは、どの向きで洗っている人が多いのかです。
他の人が髪を洗っている姿は、銭湯に行く時くらいしか見る事はありません。
花王株式会社による6594人へのアンケート結果によると、下向きで洗っている人が多数派の様です。
参考:読者6,594人の声 お風呂での「からだと髪の洗い方」どうしている?|発表!みんなのアンケート|花王 くらしの研究
また「髪を洗う時の向き」といっても、ずっと同じ姿勢のままとは限りません。
シャワーですすいでいる時と、シャンプー剤を付けている時とで向きが違う場合もあるかと思います。
その辺りは詳しく表記されていませんが、洗う時は下向きと答えた人が多いようです。
下向きだと顔や頭皮が「たるむ」は嘘
ネットで洗髪時の向きを調べると、下向きだと顔や頭皮がたるむという説があるようです。
しかし、そんな訳がありません。
髪を洗う数分~十数分の間、下を向いていたからと言って顔や頭皮がたるむというのは無理があります。
そんな簡単に皮膚がたるむなら、普段正面を向いている人全員の顔が垂れ下がってしまいます。
下向きでも正面を向いていたとしても、顔に下向きの重力は働いているからです。
また、シャワーの水圧や温度の影響も、理由にはなりません。
そんな変化が起こるなら、シャワーで自由自在に皮膚の状態を変えられるという事になってしまうからです。
下向きが原因でキューティクルが傷つく事はない
キューティクルは根元から毛先に向け、屋根瓦のように1枚1枚が重なっています。
そのため、毛先から根元に向けて逆方向にクシを通すと、キューティクルは傷つきやすいです。
しかし、下向きで髪を洗うことが原因で、逆方向に圧が掛かることはありません。
どの向きで洗っても重力で毛先は下になり、キューティクルと同じ方向に水が流れるからです。
女性が気にするシャンプー剤が顔にかかるのは問題ない
下向きで洗うとシャンプー剤が顔についてしまい、肌荒れを起こしてしまうと考える人もいるようです。
頭皮にシャンプー剤をつけても問題ないのに、流すときに少し顔にかかると肌荒れを起こすというのは不自然です。
もし、その程度で肌荒れを起こすなら頭皮も荒れてしまうため、シャンプー剤が自分に合っていないと考えるべきです。
もちろん、シャンプー剤は頭皮を洗うことを目的に作られているため、顔を洗っていいという訳ではありません。
上を向いた場合に背中が荒れる原因
上を向いて洗う場合「背中が荒れる」というデメリットを紹介されている事があります。
これは単純に、背中に付いたシャンプー剤を洗い落とせていないだけです。
下向きで洗っても、シャンプーの泡が体に付いたままお風呂を出てしまうと肌荒れの原因になります。
背中は見えない部分ではありますが、向きは関係なく「お風呂の最後に全身シャワー」すれば防げます。
【結論】自分が洗いやすい向きでいい
化粧を落としたくないと言った特殊な場合を除き、どちらの向きが良い悪いという事はありません。
向きよりも、「汚れが落とせているか」「すすぎ残していないか」の方が重要です。
そのため、洗いやすい向きで行って洗髪に集中すべきです。
正しい髪の洗い方を順番に解説【ためしてガッテンも参考】
まずはシャンプーの目的から、順番に解説していきます。
洗髪なので汚れを落とすのはあたりまえですが、もう1つの目的である皮脂量のコントロールがとても重要です。
頭皮に分泌されている皮脂は、量によって良い物にも悪い物にもなってしまうからです。
こういった事があるため、シャンプーの洗浄力や力加減に気をつけなければいけません。
またNHK番組「ためしてガッテン」で昔に紹介されていましたが、間違った洗い方は髪の空洞化につながります。
髪の空洞化とは、髪内部のメデュラとコルテックスの一部が漏れ出てしまった状態のことです。
空洞化が起きている髪の外観は、ツヤが無くパサついている傷んだ状態となります。
ためしてガッテンで紹介された調査では、約8割の女性の髪に空洞化が確認されたようです。
こういった事を踏まえ、正しい髪の洗い方を解説していきます。
女性だけでなく男性もブラッシング
洗髪前にブラッシングをしておくと、皮脂や汚れを浮かす事ができます。
その結果、予洗い時の洗髪効率がよくなる事で、その後に行うシャンプーの泡立ちがよくなります。
とくに男性は皮脂の分泌量が多い傾向にあるため、洗い残しを防ぎ効率よくシャンプーするためにもブラッシングは必須です。
また、クッション性のあるブラシで正しく行えば、頭皮の血行促進効果も期待できます。
ブラッシングは頭皮マッサージも兼ねているため「【アヴェダ】パドルブラシ」がおすすめです。
ブラシ部分の根元に空気穴があり、圧をかけると空気が抜けてクッション性が高いのが特徴です。
アヴェダのパドルブラシは1983年に本国で発売されてから、今なお人気のロングセラー商品になります。
髪を洗う順番は「お風呂の最後」
髪が濡れている時はキューティクルの隙間が開き、ダメージを受けやすい状態です。
濡れている時間は極力短い方が良いため、髪を洗うのは「お風呂の最後」が基本となります。
とくにヘアカラーをしている人は、髪が濡れている時間が長いほど色落ちしてしまうので注意が必要です。
また、上でも紹介した花王のアンケートによると、体を洗う時は「髪・頭」からと答えた人が多いようです。
浴槽入浴前に体を洗う人は、髪や顔だけお風呂の最後に分けたほうが良いです。
シャワーの温度を36度~39度に調整
髪のキューティクルは温度が上がるほど隙間が開く性質があり、低い温度の方がダメージが少なくすみます。
しかし、温度を低くしすぎると融点(個体から液体に変わる温度)の関係上、余分な皮脂を落とすのが難しくなります。
これを参考にすると、下記がシャワー温度を決める目安になります。
- 39度
- 皮脂が多くベタ付きやすい人
- 37~38度
- 万能
- 36度
- ヘアカラーしている人や、髪のダメージを極力減らしたい人
しっかり予洗いする
余分な皮脂や汚れが多いとシャンプーの泡立ちが悪くなってしまうため、予洗いはとても重要です。
ただ髪を濡らすだけではなく、シャンプーをつけている時同様に頭皮を軽くこするように洗う必要があります。
画像のように頭を4ブロック程にわけて順番に洗うようにすると、全体をまんべんなく洗えるのでおすすめです。
また、整髪料をつけている人は、ここでコンディショナーを付けて洗い流しておくと落としやすくなります。
シャンプーの使用量はロングの人で2プッシュ
シャンプー剤によって推奨されている使用量は異なることがありますが、基本的には下記が目安となります。
泡立ちが悪い場合などは、半プッシュほど追加して使用量を調整します。
ケチりすぎると泡立たなくなり、多すぎると髪に付けたあとに余分な泡がボタボタ落ちて少しもったいないです。
毎日使用する物のため、適切な量を使うことが頭皮にもお財布にも良い結果になります。
髪につける前に手やネットで泡立てる
シャンプー剤を手に取ったあとは、髪に付ける前に泡立てます。
原液の方が洗浄力が強く、髪や頭皮に付けてしまうと泡立てた時よりも刺激が強くなってしまいます。
100均でも売っている泡立てネットを使用すると、簡単にキメ細かい泡になりやすいです。
泡がキメ細かいと、毛穴の汚れを落としやすいというメリットがあります。
しかし、泡立てネットを使用すると道具にシャンプー剤がとられるため、使用量を少し増やした方が良いです。
泡立てられるのであれば、ボディ用や洗顔用の物でも問題ありません。
頭皮をきれいに洗う方法
泡立てたシャンプーを髪全体につけながら、さらに泡立てていきます。
シャンプー剤の界面活性剤(洗浄成分)は、水と空気がバランスよく混ざる事で泡立つのが特徴です。
そこに皮脂や汚れが混ざるほど、泡が消滅していきます。
泡立っていないのに洗髪を終わりにしてしまうというのは、余分な皮脂や汚れが残っている状態と言えます。
また、そのまま洗うと摩擦ダメージが増加するため、髪への負担が大きいです。
そのため、髪につけて泡立たなかった場合、一旦洗い落としてから再びシャンプーするべきです。
髪全体にまんべんなく泡立てたシャンプーが行き届いたら、頭皮を洗っていきます。
頭皮をコスるのは良くないと、力を抜いてほとんど動かさないのは恐れすぎです。
汚れを洗い残して本末転倒になってしまうので注意してください。
美容室でゴシゴシ洗われる理由
- 薬剤をしっかり落とすため
- 爽快感を与えるため
お客さんに満足してもらうために、ゴシゴシと爽快感を与える洗い方をする事が多いそうです。
気持ちよく帰ってもらった方が次にまた来てもらいやすいため、ビジネスシャンプーと考えて良いと思います。
たまにだからこそ許されることで、正しいのは「やさしく洗う方法」で間違いありません。
シャンプーパックと頭皮マッサージ
シャンプー剤を付けた状態で頭皮マッサージを行うと、下記のメリットがあります。
頭皮を動かすイメージで、ゆっくり行う事が大切です。
マッサージのやり方は、下記で解説しています。
すすぎ洗いと洗い残しチェック
すすぎでシャンプー剤を洗い残してしまうと、今までの工程がすべて無駄になってしまいます。
予洗いの時と同じく、頭を4ブロックに分けてすすぐと効率的に洗う事ができます。
シャンプー剤によっては、頭皮に残りやすい物もあるため注意が必要です。
指の感覚を研ぎ澄まし、頭全体を触ってヌメりや泡が残っていないか最終チェックを行うのが安全です。
コンディショナーとトリートメントの順番
洗い流さないトリートメントをつける人は、ここの手順は不要だと思います。
髪に入れる事ができるケア成分の量には上限があり、いろんな物をつけても余分になってしまう可能性が高いからです。
成分の特徴だけを見ると、トリートメントが先です。
コンディショナーは髪の外部へ対する効果が高く、先につけてしまうとトリートメント成分の浸透を邪魔してしまうからです。
しかし、市販で売っているものは、コンディショナーを先にするようホームページや容器に書かれている傾向にあります。
おそらく、シャンプー剤とコンディショナーをセットで売る事が多いためです。
そのため、トリートメントを最後につけた方が、仕上がりが良くなるよう改良されているのだと推測しています。
また、コンディショナーなどはカチオン界面活性剤が使われています。
シャンプー剤の界面活性剤とは性質が異なり、殺菌力が高いことに加え成分が吸着しやすいのが特徴です。
そのため、できるだけ頭皮につけるのは避けるべきで。
乾かしながらサラサラにする洗い流さないトリートメント
乾かし方については、下記で詳しく解説しています。
洗い流さないトリートメントを付けるタイミングは、タオルドライとドライヤーの間です。
種類によって仕上がりの髪質が異なります。
ミストタイプは他の種類より油分がすくないため、サラサラに仕上がる傾向にあります。
シャンプー剤を使うかはフケやニオイで判断
毎日シャンプー剤で洗う事は、すべての人にとって最適ではありません。
頭皮の保湿や保護をしている「皮脂」の分泌量が、人によって異なるからです。
皮脂が少ない人が毎日シャンプーで洗うと、取り除きすぎて頭皮が乾燥してしまう事があります。
シャンプー剤で洗うべきかは、「フケ」や「臭い」が判断目安になります。
フケの特徴で水洗いだけにするかを判断
頭からフケが出ている場合、特徴によって頭皮の状態を判断することができます。
乾燥している場合には、湯シャンにするかシャンプー後に育毛剤などで保湿ケアをする必要があります。
逆にベタ付きを感じる人は、皮脂が過剰になっているためシャンプー剤で洗うべきです。
湯シャンにすると皮脂が抑えられるという人がいますが、間違いであると証明する論文を下記で解説しています。
臭い人はシャンプー剤で洗うべき
頭皮が臭い場合、ニオイの根源となっているのは「皮脂」と「汗」です。
これらを皮膚常在細菌が脂肪酸に変えたり、時間経過や紫外線によって酸化することでニオイ原因物質に変化します。
メンズや中学生などの湯シャン選択は慎重に
基本的に皮脂が多い人は、湯シャンではなくシャンプー剤で洗った方が無難です。
メンズや中学生などの思春期の時期は、皮脂が多い傾向にあります。
Sebum production in male skin is always higher and stays stable with increasing age, whereas sebum production in women progressively decreases over lifetime.
【Google翻訳】男性の皮膚の皮脂産生は常に高く、年齢が上がるにつれて安定したままですが、女性の皮脂産生は生涯にわたって徐々に減少します。
出典元:Skin physiology in men and women: in vivo evaluation of 300 people including TEWL, SC hydration, sebum content and skin surface pH-PubMed
これは健康な男女(20歳~74歳)の合計300人を対象に、皮膚の状態を調べた研究論文の結果です。
女性だけ年齢を重ねるごとに、皮脂分泌量が低下していくようです。
個人差もありますが、メンズや中学生などの若いうちは湯シャンをしても大丈夫か慎重に判断する必要があります。
まとめ
髪の毛を洗う向きは、「自分の洗いやすい方」で問題ありません。
美容師さんはビジネスシャンプーでゴシゴシ洗ったりするため、自分で洗う時は真似して強く擦るように洗ってはいけません。
シャンプー剤は泡立った時を目安に作られているため、髪や頭皮につける前にめんどくさがらずに泡立てた方が良いです。
髪が濡れている時はキューティクルの隙間が開きダメージを受けやすいため、やさしく扱う必要があります。